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手話通訳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
手話通訳(しゅわつうやく)は音声言語・手話間、または異なる手話間を変換して通訳すること、またはその行為をする人(手話通訳者)の事をさす場合もある。
目次
1 養成
1.1 手話奉仕員・通訳者養成
2 設置
3 派遣
4 認定
4.1 厚生労働大臣認定の手話通訳士
4.2 都道府県認定の通訳者
4.3 市町村の登録通訳者
5 手話通訳者の倫理
6 職業病
7 外部リンク
養成
手話奉仕員・通訳者養成
設置
派遣
認定
厚生労働大臣認定の手話通訳士
厚生労働省が聴力障害者情報文化センターに実施を委託している「手話通訳技能認定試験」に合格し、聴力障害者情報文化センターに登録することで資格が得られる。
手話通訳士は業務独占ではなく、名称独占にとどまっており、この資格が無ければ通訳ができないというシーンは未だごく一部に限定されている。
厚生労働大臣認定の通訳士を持つ人は平成18年6月15日現在で1,546人。
「手話通訳技能認定試験」は平成元年から始まり、現在までの平均合格率は約10%となっている。
都道府県認定の通訳者
都道府県所定の手話通訳養成講座を一定期間受講し、受験資格を得て受験する。認定手話通訳者になるには平均3年かかる。
現在では手話研修センターによる全国統一手話通訳者試験があり、その試験を合格したものを通訳者と認定している県もある。
市町村の登録通訳者
手話通訳が必要な個人・団体に対し、手話通訳を派遣する制度(=手話通訳派遣事業)において、派遣される通訳者を(手話通訳者派遣事業)登録(手話)通訳者と称している。
1970年に当時の厚生省により手話奉仕員養成事業が始まって以降、手話通訳が公的保障されるべきとの理念と養成されたボランティアの技術の生かし場所としてのいわゆる「おとしどころ」という妥協の中で、都道府県、ならびに市町村で次々と制度が作られていった。2006年「障害者自立支援法」施行の中で手話通訳が地域生活支援事業の中のひとつとして正式に位置づけられることによって、今後市町村での制度拡充が期待される反面、定率負担という考え方が導入される恐れがある。この動きに対して全日本ろうあ連盟等関係団体が「聴覚障害者のコミュニケーションの権利を奪うものだ」として、従来の公的負担をしていくように求めている。
登録に試験を課している市町村もあるが、自己申請で登録できる市町村もある。
また、厚生労働省障害者社会参加促進事業の中で手話奉仕員の養成・派遣事業を行なっている地方自治体も多くある。しかし、技術的な面においては、手話通訳に程遠いものが多く、手話で1対1の会話ができる程度の技術として聴覚障害者には広く知られている。
手話通訳者の倫理
手話通訳者の倫理を定めたものとして平成9年5月4日に日本手話通訳士協会が定めた7項目から成る「手話通訳士倫理綱領」がある。これには、人権擁護、聴覚障害者の主体的社会参加への支援、倫理観の遵守、守秘義務、技術及び知識の向上、人権侵害や反社会的目的への関与に関する注意、研究・実践への積極的参加について書かれている。
これらは手話通訳士の倫理としてあげられているが、ひいては全ての手話通訳に関わる人に当てはまり、遵守していくものであろう。
職業病
頸肩腕症候群
手や腕、肩を酷使する手話通訳を長く続けていると、次第に手、腕、肩の部分が痛くなる。症状が進むと個々に症状は違いがあるが、腕が使えなくなり、めまい、立ちくらみ、眼精疲労、精神神経症的な症状等々が発症し、手話通訳が出来なくなってしまう。
頸肩腕症候群は長時間にわたる同一姿勢での作業で症状が誘発、悪化するため、職業病的要素をはらんでいる。
手話通訳者だけでなく、保育士、看護師、介護士、長期にわたるVDT作業をする人、ミシン縫製、アイロンがけ、コンサートの指揮者も患う職業病である。また、近年では手話講師を務めるろう者の間にも見受けられる。
予防策としては手話通訳を長時間続けない、適度に休みを取る、上肢への負担の軽減、作業環境の改善、精神的な緊張の緩和などがある。
手話とは
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
手話(しゅわ)とは、主に手指動作を中心とし、さらに非手指動作(NMS, non-manual
signals)を使う視覚言語である。音声言語と並ぶ言語である。手話は聴覚障害者が中心となって使用している。
手話は手や指、腕を使う手指動作だけでなく、非手指動作と呼ばれる、顔の部位(視線、眉、頬、口、舌、首の傾き・振り、あごの引き・出しなど)が重要な文法要素となる。この非手指動作によって、受身、使役、命令、疑問文、条件節などの文法的意味を持たせることが出来る。
手話は「あいうえお…」の五十音、又はアルファベットをあらわす指文字とは区別され、「山」「犬」「走る」「美しい」などの名詞、動詞、形容詞を一動作であらわすのが基本である。聴者が普段する身振り(例えば日本では「男」を親指で、「女」を小指で示すなど)と共通した表現も見られる。
日本の手話
日本では、日本のろう者同士の間で生まれ、広がった日本手話(Japanese Sign Language, JSL)のほか、日本語と手話とをほぼ一対一に対応させた日本語対応手話(手指日本語)、また、その両者の中間的な表現等が使われている。日本手話は、基本文法が日本手話そのものなので、非手指動作が重要な意味を持つ。しかし、日本語対応手話は、基本文法が日本語のため、非手指動作はほとんど使われない(日本語にあわせて手話単語を表現する)。このように、言語学的な観点でみると両者は異なる。
また、地域によって一部の手話単語が異なる。有名な例(手話単語の方言)では、「名前」の手話単語が東日本と西日本で異なることが挙げられる。
一部のろう者とそれに同調する聴者は、日本語対応手話は独自の文法を持っていないので手話とはいえず、これに対し手話という文字列を使うべきではないと主張し、「手指日本語」という語を用いている。
世界の手話
手話は世界共通ではなく、アメリカの ASL・イギリスのBSL・フランスのLSF等のように各国で異なる。
その地域で使われる音声言語と手話との間には関係がない。例えば、アメリカとイギリスは音声言語の英語を共有するが、手話のASLとBSLは全く異なる。ところがフランスでは英語を用いないのにも関わらずLSFはASLに比較的近い。また、カナダのフランス語圏ではLSFでなくLSQを使う。
世界ろう連盟主催の国際会議、国際大会など、国際的な場では国際手話が使われる。しかし、実際の国際交流の場ではASLが一番広まっている。その理由は、アメリカの影響力や、ギャローデット大学がアメリカに所在しているためである。
アメリカには、ASLの表現を借りて、英語の語順と同じにした手話『Pidgin Signed English, PSE』がある(日本で言えば、日本語対応手話に当たる)。
手話の歴史
手話の誕生
1760年以前は、「孤立」していた聴覚障害者は、ごく身近な人だけにしか通じない『ホームサイン』を使ってわずかな意思疎通をはかっていた。
1760年、ド・レペ神父が世界初の聾唖学校である、パリ聾唖学校を設立した。ここで世界で初めての聴覚障害者の「集団」が形成された。彼らは、各々持っていたホームサインを統合し、発展させて、手話を創り上げた。パリ聾唖学校では、手話をもとにした教育法である、フランス法が確立された。
パリ聾唖学校の試みは、ヨーロッパ各地に波及していき、各国独自の手話が創り上げられた。
【<それぞれの国で初めての聾唖学校設立年。2つ目以降の聾唖学校設立年は省略。>
1778年ライプチヒ(ドイツ)、1779年ウィーン(オーストリア)、1783年ハックニー(イギリス)、1784年ローマ(イタリア)、1790年フローニンゲン(オランダ)、1793年トゥルネ(ベルギー)、1795年マドリード(スペイン)、1806年サンクト・ペテルブルク(ロシア)、1807年コペンハーゲン(デンマーク)、1808年ストックホルム(スウェーデン)、1811年イヴェルドン(スイス)、1817年ハートフォード(アメリカ)、1823年リスボン(ポルトガル)】
【1862年、江戸幕府は第一次遣欧使節を派遣した。彼らは、ヨーロッパの聾学校や盲学校を訪問していた。】
日本の最初の聾学校は、古川太四郎が1878年に設立した京都盲唖院である。ここに31名の聾唖生徒が入学し、日本の手話が誕生した。
手話の暗黒時代
しだいに聾学校では、手話で教育する方式と、口話法という、聾児に発音を教え、相手の口の形を読み取らせる教育方式の2つの流派に分かれていった。両者は長い間論争し、対立していた。
1880年ミラノで開かれた国際聾唖教育会議で口話法の優位性が宣言され、手話法や手話は陰の立場に追いやられていった。口話法が採られた背景には、国家強化には言語の統一から、つまり、教育の場では音声言語獲得からという思想があった。この宣言は、やがて日本にも入ってきて、日本も口話法が主流になっていった。
この状態が長く続き、手話は教育の場で、そして社会で認められない、偏見を持たれる言語となった。しかし、手話は、聾学校内では教師の見ていないところで先輩から後輩へ伝承されていった。又、社会内では聴覚障害者が集まる場でひそかに使われていた。
手話の再評価
1960年にギャローデット大学の言語学者、ウィリアム・ストーキー(William Stokoe)は『手話の構造』を発表した。これは手話は劣った言語ではなく、音声言語と変わらない、独自の文法を持つ独立言語であるという内容だった。これをきっかけにして1970年代以降、手話を言語学としての研究対象とする学者が増えた。現在では、言語学者の間で「手話が言語である」というのは常識になっている。
同時期に、口話法での教育の行き詰まりも各地で報告されるようになっていた。また、北欧で発生していったバイリンガルろう教育が刺激となり、手話法の見直しがなされた。現在では、教育機関では程度はあれど、手話法を取り入れるところが増えている(口話法のところもある)。
また、アメリカで提唱されたろう文化Deaf Cultureという考えがきっかけとなり、手話はろう者の言語であるということをろう者自身が認識していくようになった。
日本においては1995年、日本テレビ系列で放映されたテレビドラマ『星の金貨』がきっかけとなって、手話の存在が広く知られるようになった。また、これ以降、「君の手がささやいている」「愛していると言ってくれ」「オレンジデイズ」など、手話話者が登場するドラマ(手話ドラマ)が増えていった。
また、2006年5月7日まで千葉県浦安市舞浜にあるテーマパーク、東京ディズニーシーで行なわれていたショー「ポルト・パラディーゾ・ウォーターカーニバル」では、ミッキーマウスやディズニーの仲間たちが歌詞に合わせて手話(日本語対応手話)を披露していた。
教育の場においても、1990年代後半から、手話を積極的に利用するろう学校が増えており、広島ろう学校、大阪市立ろう学校、岡崎ろう学校、三重ろう学校、大塚ろう学校、坂戸ろう学校などは特に手話法の研究に力を入れているとされる。またこれら以外のろう学校においても、以前のように手話を禁止している所は殆ど無いような状況となっている。口話法の研究に力を入れている私立日本聾話学校においても、「教育において手話は使わないが、教育以外の場で児童・生徒が手話を使うかどうかは自由である」という立場を採っている。
ただ、日本手話だけが日本の手話であると考える立場からは、日本語対応手話や中間手話が主流である現在の手話法は、手話法ではないと攻撃されている。
その他の手話
潜水士が水中で信号を送るための「水中手話」もある(アクアラングを噛んでいる状態では喋ることができないため)。
インディアンは、他の部族とコミュニケーションする時に手話を使っていた。(シャイアンを参照)
中世の修道院では、「沈黙の戒律」というのがあった。その間、修道士は手話や指文字で会話をしていた。雑談に夢中になりすぎたため、手話も禁止になってしまう場合があった。
赤ちゃんと親がコミュニケーションするための、ベビーサインと呼ばれる手話も存在している。
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2006/10/05制作 2006/10/18修正
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